感情のごみ箱。音楽と映画と小旅行がオアシス。映画の評価は★=1.0、☆=0.5で5つが最高。(+は個人的趣味加算・笑)

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2008-10-30 Thu 23:41
「フライ,ダディ,フライ」感想
フライ、ダディ、フライ
●フライ,ダディ,フライ
●'05/JPN/121 min
●監督:成島出
●キャスト:岡田准一/堤真一/須藤元気/星井七瀬/松尾敏伸/坂本真/青木崇高/広瀬剛進
●映像・音楽:★★★★☆
●ストーリー:★★★★★
●総評価:★★★★★


”この腕で遙を思い切り抱きしめてやるんだ。そして、この素晴らしい世界に連れ出してやるんだ”

何の変哲もない、けれど確かな幸せに満ちた家庭がある。
鈴木一(=おっさん)はそんな家庭を愛し、妻を愛し、そして何より高校生になったばかりの娘を愛していた。
毎日仕事の帰り、バス停にはおっさんと全く同じ身なりをした5人のサラリーマンが、いつも酷く疲れた様子でバスを待っている。あまりにも毎日のことだから、彼らはそのバス内で、まるで学校の席順のように座る席さえ決めている。
そんなバスを尻目に、おっさんはバス停の側まで迎えにくる妻と娘の乗った車で毎日帰宅する。
ある意味、おっさんはバス停に並ぶサラリーマンに勝っているのだ。(ここのカメラワーク最高・笑)
そんな毎日。
平凡だけど、確かな安心と幸せがそこにはあった(とおっさんは思っていた。)
それが突如、崩壊する。
愛する娘が、ボクシング部の男子高校生・石原に理不尽な暴力を受け、入院してしまったのだ。
突然のことに愕然とするあまり、弱々しく伸ばされた娘の手を、おっさんは振り払ってしまう…。
そうして娘との関係は壊れ、憎き悪・石原に復讐を誓うおっさん。
そんなおっさんが、ザ・ゾンビーズの面々と出会い、彼らと過ごす奇妙な夏休み――。
決戦は9月1日。
残された時間は40日。
めっぽう喧嘩に強く、無愛想でぶっきらぼうなゾンビーズの朴舜臣(パク・スンシン)を師匠に、一夏のおっさん冒険譚が幕を開けた!!
果たしておっさんは、石原を倒し娘を迎えにいくことができるのか?!

見終えてまず思ったのは、劇場で見たかった!!!!(ノд`)゜ということ。
岡田主演ということで一応チェックしてたものの、当時は内容にそんなに興味を持てず結局スルー。
それから3年。
公開当時とは全く変わった私を取り巻く環境、私自身の考え方、社会の捉え方関わり方…。
あの当時見ていたのでは、こんなに手を叩き涙を流して「良い!!」と言ってはいなかったかもしれない。
社会人になり、すっかりそれが板に付き、一抹の虚無感とそれを補う充実感を感じながら、日々を自分の力で生きるようになった今だからこそ、こんなにも感銘を受け、影響を受けたのかもしれない。
そう、影響だ。
正直、あまり他人の生き方や考え方、哲学などに影響されることは少ない。
それがどうだ。
この映画を見て私は、すっかり舜臣の哲学に心酔し、週3はジムで延々走る(以前は1ヶ月に1回も行かないことだってザラだったのに!!)ようになってしまった(;´д`)
”いらないものを削ぎ落として、必要なものだけを残す”――それが基礎。
今の私の”頭の中と身体には、余計なもんがたくさんついてる”――それを削ぎ落とすために。
内容は、「一夏のおっさん冒険譚」とでも言っておこうか。
否、高校生の舜臣と47歳サラリーマンのおっさんとの疑似親子&友情を描いた痛快青春映画と言うべきか。
方々で「おっさん青春映画」若しくは「おっさんファンタジー」なんて聞き慣れない言葉で言われているのも、見れば納得に違いない。
本当に、見終えた後に心が洗われたような気分になれる。こんな映画は久しくお目に掛かっていない。
復讐劇を主軸に、壊れてしまった家族と一人の人間の再生をただ追っていくだけの単純明快なストーリー。
しかし重くせず、あくまで青春映画なんだと、ヒューマンドラマなんだと、これでもかこれでもかと主張してくる爽快さには潔さよさすら感じられた。
派手な特殊効果もなければ凝った演出も何もない。
カメラワークなんて、ワンカットの多さに驚かされるくらい。
それなのに、それだから――この映画は秀逸なのだ。
舜臣が言っているじゃないか、”いらないものを削ぎ落として、必要なものだけを残す”のが基礎だって。
そう、この映画は基礎がばっちり出来た映画なのだ。その上で映画を最後ま走らせるだけの筋肉(キャスト)と体力(スタッフ)を付けた、いわば完璧な身体作りがなされた映画。
うん、これで面白くないわけないよね。

単純なと言ったが、作りは決して単純じゃないのがまたイイ。
細部への凝り方、キャラクターへの愛情がハンパではない。
例えば冒頭16分間、このモノクロのシーンには舌を巻いた。
東京の夜景、しかも花火が上がる夜景を空撮しておきながら、それをモノクロで出すなんて何て贅沢。
それでもここはカラーではいけない。
最初、「あれ壊れたかな?」とモノクロの画面を怪しむのだけど、5分くらいして「あ、なるほど」と気付くのだ。
そうか、舜臣のシーンまでカラーはお預けなんだな、と。
そして案の定、16分後、我らが舜臣の登場シーンの美しさたるや、もう期待以上なんでもモンじゃない。
鹿羽高校の屋上で一人”鷹の舞”を踊る舜臣。
その両手を大きく広げた瞬間、サッとモノクロから色鮮やかにカラーへ画面が切り替わる瞬間は、思わずゾクッと鳥肌が立ってしまった。髪をたなびかせる風と散らばる羽がまた秀逸で…。
「舜臣をとにかく大切にした」と言われるだけあり、舜臣のシーンはどのシーンをとっても名場面。
そして彼の台詞がまたイイのだ。
”勝つのは簡単だよ。問題はその向こう側にあるものだ”
”今この瞬間、本物の勇気を感じることができたら、別に戦わなくたっていいんだぞ?”
”空のずっと先から見れば、この世界はきっと幸せにみえるよ”
”おっさんは背中に中身のいっぱい詰まった透明なリュックをしょってる。石原の背中には何もない”
正直、「舜臣を演じている岡田」なんて一切見えない。
これは舜臣そのもので、岡田は演じているのではなく、そのものになっていた。
それくらい完璧な舜臣がそこにいた。
完璧に格好良く、完璧に知的で、そして何より完璧に美しい
これだけの説得力ある舜臣だからこそ、上記のように私が影響受けちゃったりしたんだよな…。
舜臣とおっさんの関係を示すのも、実に細かくて好きだ。
舜臣は師匠だから、常におっさんの上に居る。(精神的にだけでなく、物理的空間的にも。)
それがラスト、師匠・弟子の関係から解放されてようやく、舜臣がおっさんのところまで降りてくる。それが上手く象徴的に表されていて、何とも上手いなあと感心した。
それからゾンビーズの部室(笑)
すげぇよ、あのゾンビーズっぷり(笑)あんな楽しい部室あったら入り浸るって(*´Д`*)ハアハア
舜臣、南方、山下、板良敷、萱野…も~~~オマエラ最高!!!!ちくしょう青春っていいな!!!!(笑)
そして、空・海・緑・風の美しさが素晴らしいのもこの映画の特徴だろう。
この映画のタイトルからも分かるように、テーマは「大空へ羽ばたく」こと。
したがって折に触れて、真夏の青い空が映し出されるのだけど、その美しさには毎回息を呑んでしまう。
言ってみればこの映画、空も緑も風も海も、そして人間達も全てが美しいのだ。
モノクロの世界で生きていたおっさんが、最後には”素晴らしいこの世界”と世界を評したのも頷ける。
そして音楽。
もうね、音楽もいいのよ、コレが。思わずサントラ買っちゃいましたよ(・∀・)
ミスチルの主題歌はぶっちゃけそんなにいいと思えなかったんだけど、その他は本当に素晴らしくて。

キャストは、もう今更言わなくてもいい気がするけど、舜臣=岡田しか有り得なかったのはまず間違いない。
監督が「スケジュールが空くまで待つ」と言ってまで岡田をキャスティングしたのがよっく分かる。
台詞がなくて画面の端にちょっと映っているだけでも、その存在感は圧倒的だった。
おっさんへ抱く感情の変化がまた見事で、ラストのシーンで見せる寂しげな雰囲気なんて、台詞なんかなくてもその気持ちが手に取るように分かってしまう。
あと男の色気、凄すぎ(笑)エロいというか何というか。岡田君、ホントにイイ男になったなあ
そしておっさん、堤真一。
これでもかってくらいダサイ格好をして、日に焼けて、殴られまくって…。
それでも、誰もが「おっさん、頑張れ!!」と拳を振り上げて応援せずにはいられないダメオヤジ、しかし最高に格好いいオヤジを、この人は完璧に演じてくれていた。
ゾンビーズを信じられなくなり、舜臣に殴られ、倒れたまま悔し涙を流すシーンは思わずぐっと胸にくる。
木の上で、舜臣の願いに頷くことはせず、ただ拳をぎゅっと握りしめてみせたのなんかも素晴らしい!!
ゾンビーズの面々もハマリ役(坂本の山下なんて最高すぎ・笑)だし。

そして最後に大切なことを1つ。
ラスト、おっさんが両手を広げて真っ白な道を走って、エンドタイトルへ向かうシーン。
ここで舜臣は叫ぶ。
”飛べ、おっさん!”
”飛べ!!”

おっさんにとって「舜臣は天使」だった。
大空へ飛び立つための飛び方を教えてくれる、一夏だけの天使だった。
そしておっさんは飛び立った。
自らの力で、自らの翼でもって。
バーンと最後にエンドタイトルが出た瞬間、ゾクッと何度目か知れない鳥肌が立ったのを覚えている。
こんなに良い邦画は久しぶりだ。いや、歴代の鑑賞邦画の中でトップかもしれない
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