感情のごみ箱。音楽と映画と小旅行がオアシス。映画の評価は★=1.0、☆=0.5で5つが最高。(+は個人的趣味加算・笑)

-------- -- --:--
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 |
2006-04-25 Tue 16:41
「スペイン要塞を撃滅せよ ホーンブロワー・シリーズ」

スペイン要塞を撃滅せよ ホーンブロワー・シリーズ<2>
●セシル・スコット・フォレスター/高橋泰邦訳
●出版日:1973.12.15(1952)
●出版社:ハヤカワ文庫NV
●評価:★★★★★


シリーズとしては2番目、書かれた順としては7番目になる本作。
つまり6番目の発表だったシリーズの<1>と7番目のこの<2>の順番は発表順に一致していて、そのため<1>からすんなり続けて読むことができました。
<1>のように短編集ではなく、1冊まるまる一つの話。
短編でも十二分に楽しめたけど、骨太長編小説大スキーな私には、ずっしり重く、びっしり文字で埋め尽くされた本書を手に取った時の興奮ときたらなかった(笑)
文章が上手く内容が面白いのは、もう<1>で確認済みだったしね(゚∀゚)ノ

今回は士官候補生→海尉心得→海尉となったホーンブロワーが、ソーヤー艦長率いるレナウン号に、ブッシュ海尉を迎えるところから始まります。
そして<1>と決定的に違う(*ちなみに今読んでる<3>とも違う)のが、視点
これはウィリアム・ブッシュという上官(ホーンブロワーが五等で、ブッシュが三等)視点で物語が進む。
とは言え、あくまで主人公はホレイショ・ホーンブロワー。
上官で年上というブッシュの立場から、若いホーンブロワー海尉の素晴らしさが語られる一冊なわけ(笑)
そう、だからこそ3つの点で面白さが増したと思う。
まず一点目。
この、ホーンブロワーが海尉(Lieutenant)から海尉艦長(Commander)に昇進するまでの過程は、彼自身でなく第三者の目から語った方が遙かに面白かっただろう。
作者が意図していたかは知らないけど、この話をブッシュ視点で書いたことには感嘆のため息が出る。
次に二点目。
ソーヤー艦長の「事故」についての真相が、結局最後まで明かされなかったこと。
いかにもホーンブロワーとウェラードが犯人のような印象を、レナウン号の乗船者のみならず読者にも抱かせながら、最後まで真相が明かされない。
もしこれがホーンブロワー視点で書かれていたら、こんな面白いことにはならなかったろう。
この点について、ホーンブロワーの資料(?)かなにかで「ホーンブロワーが犯人だ」と断言している書物があるらしいが、私は実はそう思ってない。
第一に、ホレイショのあの狂気じみた潔癖さ。これまでの彼の行動を考えるとああいう方法での対処は(思いついても)実行しないはず。
そしてこれが根拠の一番大きな部分なんだけど、ウェラードは後に、ラピッド号で海上で事故死した・・・ホーンブロワーらが休職中に。仮にホーンブロワーが計画、そしてウェラードを実行犯とした場合、周到なホーンブロワーが真相を唯一知るウェラードを放っておくはずがないと思うんです。
もし彼が本当にソーヤー艦長の「事故」を惹起した犯人だとすれば、一度は卑劣に染めた手・・・ウェラードも、遅かれ早かれ「始末」したはずでしょ。
むしろ私は、「ウェラードの計画・単独実行によるもので、ホーンブロワーは偶然それを目撃した」という説を提言したい(笑)どうもこう考えるのがしっくりくるんだよね。
まあでも、明かされてない以上、どの推測も間違ってないわけで、本当にこれ面白いと思った。
最後に三点目。
話が進むにつれどんどんブッシュに感情移入してしまい、結果、彼のようにホーンブロワーにすっかり惚れ込んでしまうこと(苦笑)
例えば、ホーンブロワーが艦長に昇進した時、思わず「Yes!!」と拳を振り上げて喜んでしまった自分がいたし、あれだけ尽くしたのに講和のためその昇進が承認されず、彼が休職給さえ貰えず寒さに凍えてる時など心底腹が立ってしまった(;´д`)
私がブッシュでも半ギニーはその場で押し付けただろう(断られるのは分かっていても)。
パリー卿とホイストに興じている時、負けやしないかとハラハラ見守ったことだろう。
辛いながらも、上下の区別なく対等の友として接することができた半給生活を楽しんだだろう――。
こんな風に。

そして、やっぱり本作のハイライトは、いよいよ海尉になったホーンブロワーの類い希なる機知と才能が存分に発揮されたことでしょう(゚∀゚)ノ
上官2人を立てながらも、自分のアイデア(意見?)を主張する姿ときたら!!
なのに自虐的になったり相変わらず船酔いで苦しんだり、妙に人間くさいから可愛くてしょうがないvv
これでホーンブロワーを好きにならない人なんてホントいないよね(;´д`)

それから個人的に興味を惹かれたのが、軍人の上下関係に対する意識。
それまで上官だったブッシュが、突然自分より上官になったホーンブロワーに、咄嗟に「サー」と敬称を付けて呼称し敬語を使うようになったのは非常に面白かった。
いくらその力を認め、好きであっても、立場逆転にはいささか戸惑いそうなもんなのに。
(ホーンブロワー本人より喜んでいたんではないかと思うほど、ブッシュは彼の昇進を喜んでだし、この二人の友情がそうさせたのは間違いないにしても。)
で、その船上での昇進が承認されず、海尉に戻った時にはしっかりタメ口になってるし。
候補生だった頃を含め、海軍生活の長いブッシュにはそれは当然のことだったんでしょうね。
うーん、面白いなあ(#>_<)o!

さて、最後にこのことには言及しておかないとマズイでしょう。
ホーンブロワーの苦しい半給時代を支えた宿の娘・マリア。
とことんホーンブロワーを愛しちゃってる彼女(ああ、分かるよ・・・)と、そんなに愛してないけどその強烈な好意を邪険にできないでとまどうホレイショ。
人間的に弱いところの多いホレイショの一面がありありと出ててGOODですな♪
彼は恐らく、人から愛されるとか好意を受けることに慣れてないんだろう(ノд`)゜
誰かホレイショに言ってやって欲しい。

「あなたは人からの熱烈な好意に、大いに値する人間です」

って。
別窓 | | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<「砲艦ホットスパー ホーンブロワー・シリーズ」 | ご み 箱 か ら 見 る 世 界 | 「海軍士官候補生 ホーンブロワー・シリーズ」>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
| ご み 箱 か ら 見 る 世 界 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。