感情のごみ箱。音楽と映画と小旅行がオアシス。映画の評価は★=1.0、☆=0.5で5つが最高。(+は個人的趣味加算・笑)

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2006-05-21 Sun 16:53
「勇者の帰還 ホーンブロワー・シリーズ」

勇者の帰還 ホーンブロワー・シリーズ<7>
●セシル・スコット・フォレスター/高橋康邦訳
●出版日:1975.8.31(1938)
●出版社:ハヤカワ文庫NV
●評価:★★★★★


彼は、誰かが高らかに宣言したように、いま誉れ高きバス勲位のナイトに列せられようとしているのだ。
これからの生涯、肩帯と星章に身を飾る、サー・ホレイショ・ホーンブロワーになったのだ。


「勇者の帰還」――。
艦長ホーンブロワー三部作のラストを飾る本作。
シリーズでは7番目、発表では(当然)三番目となり、ついにホーンブロワーは海兵隊大佐になった。
本当に、何たる感動(つД`)・゚・。・゚゚・*
この「勇者の帰還」は間違いなく三部作で一番円熟した作品であり、内容だった。
これからあと3冊分、彼の話は続くのだけど、私はもうこれ以上読む必要はないんじゃないかと思う程に、完璧で、見事で、文句の付けようもない(´人`)
1巻1巻が非常に文字がびっしり、内容ずっしり、読み応え抜群な本シリーズをここまで根気よく丹念に読んできて良かったなあと、何故かホーンブロワーと一緒に私まで、報われた気持ちになれました。
そうそう、ここまで来て、心底シリーズの並び順に読んでよかったと思った。
是非これ、発表順でなくシリーズ順(=時系列順)に読んでみて下さい。この巻の感動がひとしおです。

さて、今回、ホーンブロワーは海にいません
彼が海におり、コーターデッキを歩きコットに身を休めるのは、後半のわずか数日だけ。
その他はずっと陸地――しかも敵国フランスの陸地で過ごし、彼の側にいるのも副長と艇長だけ。
にも関わらず、しっかり冒険小説になっており、最後までノンストップで読ませてくれるのは、ホント一重に作者の上手さ(と訳者の上手さ!)、そしてホーンブロワーの魅力でしかないよね。
それから今作のハイライトの一つに、ブッシュ達とホレイショの友情があります。
これまでとは違う、陸上でゆえの彼らの友情と規律が、この感動的な話に一層感動を与えてくれるわけ。
今作が一番感動的で、ホント何回も涙が出てしまいました(ノд`)゜

*以下、前作も含めかなり重大なネタバレがあるので、未読の人は避けた方が無難です。
前作「燃える戦列艦」のラストで、サザランド号と愛すべき乗組員のほとんどを失ったホーンブロワー。
彼は片脚を失ったブッシュ、生き残った乗組員らと共に、ロサス要塞に捕虜として幽閉される。
過去にも2年間、スペイン捕虜になった(*第一巻「海軍士官候補生」の「公爵夫人と悪魔」参照)経験はあるものの、今回は、艦長という絶対的自由を10年あまり経た後での幽閉・・・。
窓から見える青い海と蒼い空とに恋い焦がれる姿が痛々しい。
「気まぐれで裏切りに満ちた海」をどれだけ愛していたか、恋い焦がれるか――その心理描写が相変わらず鋭くて、彼の苦悩がリアルに伝わってきます。
このフォレスター氏はホント、心理描写も情景描写も上手すぎるよ!!!(((;゚Д゚)))ブルブル

そして彼は、片脚を失い、回復もしていないブッシュと共に軍法会議に諮るべく連行されることに。
余談だけど、この切断されたばかりの脚の患部や治療の描写がものすごく緻密でリアルなんですよ;;
他に人手はないから、艦長自ら副長の治療に当たったり医者の補助をするんだけど、ホレイショは気持ち悪さに蒼白し、意識を飛ばしかけるのよ(苦笑)
それが笑えない、ホントにリアルだから。たかが読み手でさえ気分悪くなってんだもん。
しかし好機があればホーンブロワーがそれを逃すはずがない!!
そう、彼の彼らしさが全面に出たのが、逃亡を図るこのシーン

ホーンブロワーが最初にこのことを思いついた時から、ここまでわずかに6分間だった。

これは軍法会議に連行される途中、彼が逃亡を思いつき、実際にフランス軍から逃げたシーンなんだけど。「わずか6分」って・・・!!!!(笑)
動けないブッシュと、艇長ブラウンも連れての逃亡だよ?!
それを計画から実行まで「6分」って・・・!!!
ああもう、大好きだホーンブロワー!!!(つД`)・゚・。・゚゚・*

それから前述したとおり、事情が事情なだけに、今作はブッシュとブラウンの二人とホーンブロワーとの友情が非常に大切に、細やかに描かれてます。
これまでは艦長であるが故、情の厚さや脆さを頑なに押し隠し、向けられる愛情を意固地に拒絶していた彼。
その彼が、サザランド号で長年苦楽を共にした仲間で、わずかに残った2人と「一蓮托生の生活をし」、ようやくその「幸福というものが分か」るんですよ(ノд`)゜
再逮捕されるかもしれない恐怖はあるものの、海のような危険のない、食料もある、暖もある、水もある陸での安定した逃亡生活は、ホレイショにとって実はかけがえのない経験だった。
彼は途中、彼らとの生活をこう唄います。

戻ってきた時、彼の目に触れたのは牧歌的な場面だった。
片やブラウンが、ちろちろ燃える小さな焚き火の番をしており、片やブッシュが、じゃがいもの最後の一個の皮をむいているところだった。


一部中略してますが、この「牧歌的」っていうのがね・・・言い得て妙だなあ、と。
このシリーズで思ったのが、海洋冒険小説なのに確かに随所が「牧歌的」なんだよね。

三人は、消えかけている焚き火のわきで、いっしょに、黙々と、しかし親しく、食事をした。

艦長と副長と艇長が一緒に3者で食事・・・。
滑稽なのに、ものすごく温かく「牧歌的」で、思わずジーンと涙を誘われちゃいました。
この逃亡生活のくだり、ものすごく好きなシーンの一つだな(*´ー`*)

それから、
艦長が副長の艦長への昇進と、ブラウンの士官への昇進とに尽力することを約束するシーン、
雨の野営で、ブッシュがホレイショを庇うように腕を掛け渡してやってるシーン、
実際にブッシュの艦長昇進が認められたシーン、
英国の軍法会議前に、ブッシュがその礼と励ましを持ってホレイショを尋ねるシーン、
などが、艦長と副長の親愛を上手く語ってて好きですvvホント震える。

さて、そしていよいよ「帰還」したホーンブロワーの(英国)軍法会議。
その前に、万年貧乏のホーンブロワーが、サザランド号の着任のため担保に入れていた剣にまつまわる小粋なエピソードがあって。
ダディングストンという嫌みな質屋のオヤジが、ホーンブロワーの「帰還」と偉業に感銘を受け、手紙と共にその剣を送り返してきたんですよね・・・。
その手紙の感動的なことと言ったらない(#>_<)o!
思わず目を潤ませるホーンブロワー・・・ああ、ホント、いい(惚)
軍法会議では、やはり怯える彼にこう、言い渡される。

「貴官に対しここに深い敬意をもって無罪を申し渡す」

熱狂する英国国民、ブッシュ、他の士官達、そしてレディ・バーバラ。
この軍法会議は今で言う司法裁判なんだけども、これこそ、出すべくして出された正当な判決を、国民が支持するシーンにあたるんだろうなと思うと、何だか感慨深いものがある。

そして冒頭の通り、ホーンブロワー艦長はついに、いずれ提督にまでなれるバス勲位を授けられ、サー・ホレイショ・ホーンブロワーとなった。
妻マリアが命と引き替えに彼に残した子、リチャード・アーサー・ホレイショ・ホーンブロワーは、レディ・バーバラに引き取られ健やかに育てられていた。
死んでしまった二人の子供の代わりに、リチャードを抱きこの上ない幸福を感じるホーンブロワー。
地位、金、子供、安定――欲しいと思っていた全てを、彼はついに手に入れることができたのだ。

しかし、ね――。

やっぱり、ホレイショ・ホーンブロワーはサー・ホレイショは似合わない。そういうこと(笑)
だからこそ愛せる。
しかしこれ以上読む必要があるのだろうか?(;´д`)ここまでで完璧なんだけど・・・。
いや、ここまで彼を見てきたんだから、提督になるまで見届けなきゃダメってもんかな。
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