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2008-08-24 Sun 19:02
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![]() ●プレステージ/The Prestige(原題) ●'06/PG-13/USA・UK/130 min ●監督:クリストファー・ノーラン ●キャスト:ヒュー・ジャックマン/クリスチャン・ベール/マイケル・ケイン/スカーレット・ヨハンソン ●映像・音楽:★★★☆ ●ストーリー:★★★★ ●総評価:★★★★ マジックは3つのパートで成り立っている。 最初のパートは「確認」。何でもない物を見せる。 2番目は「展開」。その何でもない物で、驚くことをしてみせる。 どんなマジックにも3番目がある。 それが最も難しい。 人はそれを「偉業(プレステージ)」と呼ぶ。 2人のマジシャンがいる。 1人は”偉大なるダンカン”ことロバート・アンジャー。派手好きで、魅せることに長けた若き野心家。 もう1人は”教授”ことアルフレッド・ボーデン。地味だが発想は抜群で、あらゆる面で抜かりのない男。 元は同じマジシャンの助手であり友人同士でもあったこの2人が、ある事件をきっかけに、お互いを憎み、妬み、傷つけ合っていきながら頂点を目指していくという、暗~い人間ドラマであり、サスペンス。 まず、クリストファー・ノーラン、恐るべし…!!!! ある映画があって、その映画のカラーを最終的に決めるのは、役者でも演出でも脚本でもなく監督だ。 それは、「あの役者が出ているから見る」のと同じように、「あの監督作品だから見る」ということはあっても、「あの役者が出ているから見ない」のはないのに、「あの監督作品だから見ない」ということが、大いにあり得ることからも言えると思う。 その監督の感性と合うかどうか――これが、映画を気に入るかそうでないかの違いにもなる。 そこにきてこのクリス・ノーラン監督…うーん、ヤバイ。この監督、すごく好み ![]() この監督は「メメント」の監督でもあり、この作品を観たことがある人なら、その時系列の見事なまでの錯綜っぷりに舌を巻いたことだと思う。 あれは流石にやり過ぎだったかもしれないけれど、その手腕は相変わらず。 この作品でも、しょぱなから時系列が飛ぶ、飛ぶ(笑) しかしメメントのように錯綜しているのではなく、必要な時に最小限に持ってきているだけで分かり易い。 サスペンスにはこういった時系列イジりは欠かせない。 最後まで見終わった後で、もう一度冒頭を見ると、「ああ!」と繋がることが何と多いことか…。 でもこの時系列イジりは、綿密に練られた脚本があって初めて価値が出るもの。 破綻した脚本で時系列なんてイジると、それはもう目も当てられない自己満足作品の出来上がり(・∀・) つまり、この作品、脚本も良いのだ。 やっぱり脚本にもクリスとジョナサン・ノーランの兄弟コンビの素晴らしさが出ている、そういうこと ![]() この2人はハタから見れば「狂人」なんだろう。 マジックに取り憑かれた、日々の生活を奇術のために犠牲にして生きる「狂人」。 妻も子供も、自分を助けてくれる相手も全て、犠牲の対象になってしまう。 そしてそうなったのは全て、相手への嫉妬から。 嫉妬・妬み・嫉み・羨望・憎しみ…これら負の感情の究極はあっさり人を狂わす。 うーん、何と恐ろしいことだろう。 ノーラン監督ってば、この静かな「狂気」や「嫉妬」の描き方がまた秀逸でたまらない。美しくも残酷でダークな映画を撮らせたら、右に出る者はいないんじゃないだろうか。 そしてその2人を、ヒューとチャンベール(笑)がこれまた上手く演じてるわけですよ ![]() ヒューは「X-MEN」、ベールは「バットマン」と、それぞれアメコミのヒーローを演じてるってのも面白いキャスティングだと思う。 スカーレットは派手なイメージがあって、ノーラン作品には合わないかと思ったらとんでもない!!! マジシャンのショーガールにはむしろこの華やかさがぴったり。 残念なのが音楽かな。 まあ派手な音楽はいらない作品だけど、もうちょっと効果的に音楽を流して欲しかった。 ダークで美しい世界観なだけに、もうちょっとその世界を音楽で盛り上げられたと思うんだよね。特に、奇術のシーンとか。そういう派手な舞台なんだから。 ちなみに、ボーデンが銃弾マジックで指を失ったときに、観客が笑うのがちょっとリアルで怖かった。 リアルだよー、あれ。酔っ払いの集団て、血を見て叫ぶどころかケラケラ笑うからね(;´д`) ラストの、本当の「タネ明かし」も私は好き。全く読めなかった。 「シークレット・ウィンドウ」でさえ、本編始まる前にオチが読めたというのに(笑) 冒頭の「確認」「展開」「偉業(プレステージ)」――これが、作品全体にも成り立っていたのはお見事。 |
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