感情のごみ箱。音楽と映画と小旅行がオアシス。映画の評価は★=1.0、☆=0.5で5つが最高。(+は個人的趣味加算・笑)

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2008-09-10 Wed 21:32
成年後見人業務日誌2
朝、突然飛び込んできた1本の電話。
それは、私が成年後見人に就いている方が入院している病院のSWさんからのものだった。
「Aさん(被後見人)が、今朝1時ごろお亡くなりになりまして…」
――びっくりした。
心臓が跳ねるとは、まさにこのような時のことを言うんじゃないだろうか。
あまりの驚きに、声が出ない。
「ご遺体は霊安室に安置されているんですが、どうしましょう?」SWさんは続ける。
どうしましょうって…どうしたらいいんだろう?
とりあえず、突然のことでこちらもいろいろ検討しなければならないので、午後にでも折り返します――そう答えるのが精一杯だった。
電話が切れた後も、しばらく呆然としていた。
この方の成年後見人に就任したのは7月。
まだ2ヶ月と経っていない。
ようやく、税金・年金・保険・療養費・金融機関等々の手続きが終わり、これからゆっくりご本人の財産状態を立ち直していく予定だった。行方不明の子を探し、来るべき相続の日のため相続人の確定もしていくつもりだったというのに。
それを待たずして、突然に他界されてしまうなんて…。
とりあえず就任にあたり大変お世話になった区役所の方に連絡を入れ、なかなか連絡のつかない親族の方にも連絡を入れる。
予想はしていたことだけど、親族の方では葬儀は行えそうもなく、火葬の手配はこちら任せ。
実は成年後年は本人(被後見人)の死亡によりその任務は当然に終了する。
従ってAさんが亡くなった今、私には火葬を手配する義務も権利もないのだけど、実際に親族がいない場合やそれに準じる場合、後見人が代わって執り行うことも多いのが現状。
ただ、財産がほとんどなく、病院への負債ばかり溜まっているこの方。
これまでの報酬さえ一切もらっていない上、火葬を行う資金も立て替えとはいかない。
火葬は市区町村で執り行ってくれることもあるそうなので、明日、区役所へ相談にいかなければ。

午後は病院へ行った。
まず最初にやらされたのが、死亡届の記載。
Aさんの本籍、住所等を淡々と、ただ事務的に記載してゆく。
それから霊安室へ。
霊安室は、病院の地下にひっそりとあった。狭いが真っ白で明るい。
Aさんは、白いリネンを頭からつま先まで被された状態で、その狭い部屋の中央に眠っていた。
2週間前にAさんの元を訪れた時には、3階の、夏の陽光差し込む明るい開放的な部屋の窓際で、目をうっすら開けて横たわっておられたのに。
Aさんの隣には、申し訳程度だけれど、確かに死者を慈しむに足る手向けの花が備えられている。
近付くと、係の人がリネンを取り去って、Aさんの遺体を見せてくれた。
蝋人形のように奇妙な固さが、触れてもいないのに伝わってくる。
綺麗だった。
いつ訪れてもおかしくない病死だったため、遺体の損傷もなくエンバーミングは必要なかったに違いない。
「もう、結構です」
そう言うと、再びAさんの遺体に真っ白なリネンが被せられた。
この霊安室までAさんを尋ねる人は私以外にはいない。
きっとAさんは、火葬場に向かうまでこのまま、この狭い霊安室で一人じっと横たわっているのだろう。
霊安室の扉が閉じられた後も、部屋の中の様子が頭から離れなかった。

明日、病院でもらった死亡診断書を区役所に提出する。
昨年の戸籍法の改正で、法第87条2項に成年後見人の死亡届提出権限が正式に認められた。
まさかこの私が、それに則り死亡届を出すことになるなんて…。
5月までは全くの他人。
お互い、その存在さえ知りもしなかった。知ってからも、相手は私のことを認識していない。
そんな人間の死亡届を提出する――。
何て、重いのだろう。
重すぎて、泣きたくなる。
けれど、これも仕事。
成年後見に限らず、後見業務は今後必ず重要な分野になってくる。逃げ出してはいけない。
最後に、誰にも言うことができないからせめて、ここで。

Aさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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