感情のごみ箱。音楽と映画と小旅行がオアシス。映画の評価は★=1.0、☆=0.5で5つが最高。(+は個人的趣味加算・笑)

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2009-03-14 Sat 13:51
「ジェネラル・ルージュの凱旋」感想
ジェネラル・ルージュの凱旋
●ジェネラル・ルージュの凱旋
●'09/JPN/123 min
●監督:中村義洋
●キャスト:竹内結子/阿部寛/堺雅人/高嶋政伸/羽田美智子/山本太郎
●映像・音楽:★★★★
●ストーリー:★★★★★
●総評価:★★★★★


堺雅人に尽きる!!!
一体何の運命(笑)か、ちょうど先日「クライマーズ・ハイ」を鑑賞し、堺氏にハマった矢先にこの映画…。
これはもうどっぷり堺氏にハマれという天の声だろう(違います)
さて、映画感想。
以下はその一部を某所に投稿したもの(字数制限に引っかかって大幅に削除したけど・泣)。どっかで見つけたらそっとしといてやって下さい。内容はともかく一人称とか一人称とか…(苦笑)

この映画のポイント、それは「タイトル」、「オープニング」、そして「堺雅人」。
この3点がとにかく、最高!
まあタイトルは原作者の功績として、2点目のオープニングについて。
時はクリスマスシーズン。
モノクロトーンの病院のドアの向こうでは、クリスマスカラーの赤いランプが点滅している。
しかしそれは、重傷者が運ばれてきた白車(救急車)の救急ランプだった…。
クリスマスモードから一転、一気に修羅場と化す救命救急。
次から次へと運ばれてくる重軽傷者を片っ端から受ける若き医師、ジェネラル・ルージュを数秒だけ写し、次の瞬間、スクリーンが真っ赤に染まる。
そこへバーンと打ち出される、真っ黒の「ジェネラル・ルージュの凱旋」の文字――。
この3分ほどの時間で、「おお!」と唸った人は多いんじゃないだろうか?(かくいう私なんかその一人だ。)
その映画が面白いかそうでないかは、だいたいこの数分間のオープニング・タイトルロールの出来で分かるというのが、私の持論(笑)で、この映画はものの3分で見事にそこをクリアしてくれた。
おお、これは期待できるぞと思ったのも、この瞬間。
そして何より、キーパーソンにして主役(≒主演)ジェネラル速水を演じた堺雅人。
これは後で語ろう。長くなるから(笑)
いやぁ、この3点が何とも素晴らしい映画だった。

すでに5回目の鑑賞となるが、何と新宿ピカデリーの1番スクリーンで上演されていたため、レイトの回で鑑賞。
謳い文句はミステリーとのことだが、その実ミステリーではなく純然たる医療ドラマ、人間ドラマだ。
ミステリー要素がないわけではないが、それはあくまでスパイス程度。
核をなすのは、つけっぱなしのテレビから否応なしに聞こえてくる病院の「受け入れ拒否」問題と「医師不足」問題、それを医療に従事する者の側から描いた医療ドラマなのだ。
しかもこの映画が秀逸なのは、一重に「医療に従事する者」といっても、真の臨床医と「医療屋」という2つの「医療に従事する者」を描いているから面白い。
この映画を見終えた時に一種爽快感が胸に広がるのは、これらの問題が決して人ごとではないことを日々どこかしら感じていて、この映画の結末が、その不安にカタルシスを与えてくれているからだと思う。

スパイス程度のミステリー、業者との癒着及び殺人のクロとして疑われるのは、真の臨床医たる究明救急センターの若きセンター長・速水医師。
これを演じるのが、先に述べた堺雅人この人だ。
堺さんを良い役者だと認識したのが、偶然先日DVDで見たクライマーズ・ハイという映画。
顔の造りは穏やかなはずなのに、怒った(演技の)時のギラギラとしたあの目。
怒りの中にゾクッとする色気を孕んでいて、何ともいいなぁと思ったものだ。
そこへきて、速水センター長…。
ぶっちゃけてしまえば、ハマった。この俳優に。心酔したとさえ言えるかもしれない(笑)
俳優が役にハマるというのは、実はそんなにあることではない。
あまり邦画は見ないので邦画での例はそんなに挙げられないが、例えば「アウトサイダー」のディロン、「レオン」のポートマン、「プライドと偏見」のナイトレイ、「ダークナイト」のレジャー、「パイレーツ」シリーズのデップ、「フライ,ダティ,フライ」の岡田等々。
同じ髪型、同じ顔、同じポーズで撮った写真を左右に並べても、別人に見えてしまうほど、役そのものと同化していることが、真の俳優にはあると思う。
この作品における堺雅人はまさに「速水センター長」そのものであり、たぶん同じ髪型のこの人が「堺雅人」ご本人として見開きページで載っていても、きっと別人に見えるに違いない。
それほどにハマリ役だった。
さて、キーパーソンと言ったとおり、この映画は一応田口・白鳥シリーズということらしいが、映画を最後までもり立て、引っ張っていくのはこの速水という医師に他ならない。もし異論を唱える人がいたら、もう少し多くの映画を見て目を養った方がいいと進言する(笑)
どれだけ劇場に笑いが起きていようが、この男が登場すればピタリと笑いが止む。
シリアスドラマの部分のすべてが、速水センター長に託されていた。
コメディ映画と銘打ったのならともかく、ミステリー・医療ドラマでもっていく以上、速水このセンター長に説得力がなければ映画自体が破綻した。
堺雅人でなければ、これだけ説得力のある速水センター長を演じることはできなかっただろう。
ひいては、彼が速水でなければこの映画の成功は成し得なかっただろう。
ニヤニヤ笑っているかと思えば次の瞬間には射抜くような視線と威圧するような口調で相手をにらみつけている。
一度はCPA(心肺機能停止状態)とされた患者を一心不乱に蘇らせたと思えば、次の瞬間「ぶー、60点」だなんて相手を茶化す余裕を見せる。
鬼のような形相で部下に指示をしていたかと思えば、宿願のドクターヘリを見て見せたあどけない子供のような表情をしてみせる。
うーん、何て魅力的なんだ!
そんな彼の中にあるのはただ1つの信念、「一人でも多くの患者の命を救う」こと。
そこにはただ1本の分かれ道も曲がり道も、ゆるやかなカーブさえも存在しない。
ただ1本、どこまでも真っ直ぐに、地変線の彼方まで進む道(信念)があるだけ。
自己の利益になりもしない、ただ他人にかしずくような信念を、ここまで抱き続ける職業人の姿に、後半はもう涙なしに見ることがでえきなかった。
自分もそうありたいと願いながら、いつもクネクネ曲がった道を行ってしまう自分。
でも失っているわけではない自分のつたない信念を、もう一度大切にしようと、ドクターヘリを見つめる速水の姿に思わされた。

ちなみに、他のキャストのみなさんも大変素晴らしかった。
特に花房看護長を演じた羽田美智子、佐藤副センター長を演じた山本太郎。
堺氏の速水に圧倒されているようでは、救命センター内の人間ドラマが成り立たなかった。
速水に反目しながらもやはり尊敬はしている佐藤副センター長が、弾劾裁判中に大声を上げるシーンなんか秀逸だった。
これは、あれだけ救命に身を捧げ部下を手足のように扱いながら、あっさり自分だけ辞めていこうとしたセンター長に、きっと佐藤は怒りを感じた故のことに違いない。「俺たちを見捨てていくのか」と。
だからこそ、佐藤はあのように「激して」声を上げたんだろう。
そして花房看護師長の、センター長への献身…。
いくら天才と呼ばれ、我が儘勝手に振る舞っていようとも、救命救急という仕事に従事する一人の男として、心から信じられる・信じてくれる人がいたことは何よりの救いだったはず。
自殺マニアの患者のメンタルケアまで考えるような男だ、心がそこまで強いわけはない。
そんな速水をただ黙々と、「クソがつくくらい真面目」に、隣で支え続けた花房師長。
羽田氏の静かな、堺氏の「動」の演技と対をなす「静」の演技が大変良かった。

ここまで延々絶賛したけども、難がないわけではない。
難を言えば、演出が若干荒かったこと(特に「ジェネラル・ルージュの凱旋」シーンはもっと魅せ方があったはず)、カメラワークがイマイチだったこと、ソフトボールなんて竹内結子のファンサにしか思えない無駄なシーンがあったこと、そして主題歌かな。
これらは「60点」(笑)
とはいえ、ドクターヘリに病院一体となったトリアージシーンなど、映像の迫力自体は満点だったし、総じて、映画館で見るべき映画だと思う。
最初の3分、あの真っ赤=映画のカラーで染まるタイトルロールを見ただけで、きっと面白いことが分かるはずだから。
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